21歳
ねえ、面白い話してよ
"は?じゃあ聞いて?"
そう言って面白い話をしてくれた。
私はその人が好きだった。
沢山色んなところに連れて行って貰った。
美味しいものを食べる為に、沢山一緒に旅に出た。
バイクのタンデムに乗って。
千葉から待ち合わせ。
名古屋のやばとん、大阪のグルメ、京都の叙情美しく。
雨でバイク転倒したり、心地よくてタンデムで眠ったり。安心した。怒られた。そりゃそうだ。
千葉と横浜の仲。月に2回くらいかな、沢山一緒に過ごした。沢山ラーメン食べて、研究していた。
25歳になって、その人の口の悪さに響いた。
私はこの人と居たら口が悪くなる。
抱きしめる時に雑だったって、
そうやっていつのまにか
悲しくなって、
嫌だなって思って、別れた。
お互い30歳になっても結婚していなかったら
迎えにくるわ、とか言ってた。
嫌だよ、私は違う人見つけるから。って、言った。
それから沢山恋をした。
沢山綺麗になった。
そして私は29歳の時に悲しいことがあって電話をした。
彼は、今が幸せだと言っていた。素敵な人を見つけたのだという。
でも、悲しいことは何?って深夜にも関わらず話を聞いてくれた。
私は、この人は凄いな。と思った。
まるで幼馴染のようだった。全部私の事を知っていた。哀しくて愛おしいくらい嬉しかった。その時、私は泣いた。
私はその時のことを割と上手に忘れないし、
素敵な人と結ばれたのかな?なんてたまに祝福の想いでいるけれど、何も知らないから。
何も言わない。
元気かな。